1.プロローグ


10


初めて薪ストーブの現物を見たのは今から5年程前のことでした。
 それは家族ぐるみでお付き合いをしている友人のホームパーティーに招待された時の事。
 20畳(もしかしたらそれ以上あるのかも・・)の広々としたリビングの突き当たりにレンガの壁を背にしてそれはあった。
STOVAX:シェラトン 私は「夢の丸太小屋に暮らす」という本を見ては、いつも思っていた。
「コレがあれば、家の中で焚き火が出来る!!」
ずっと憧れていたのだった。

写真で見るのと実物を見るのとでは迫力が全然違う。
それにしてもきっと高いのだろう。
↑友人宅にある薪ストーブ  STOVAX:シェラトン《イギリス製》
私達のような平民にはとうてい手が出ないに違いない。
しかし、まんぼうを横目で見ると・・・ヤバイ!目がキラキラしている。

主人の頭の中では かっこいーナ〜
                ↓
            欲しいナ〜
                ↓
            家につけられないかな〜
                ↓
            薪ストーブを取り扱う業者がこの辺りにあるのだろうか?
                ↓
            付けるとしたら何処にしようかナ〜

という図式がすでに出来上がっているのは間違いない。
なぜなら、かなり具体的な質問をここの御主人に浴びせかけていたからだ。

 私は、まんぼうを牽制するつもりで、すかさず聞いた

「きっと、とても高いんでしょうねえ。」
「そんなことありませんよ。○○万円位だったかなあ。工事費込みで。」

 ・・・しまった。相手はサラリーマンではなかった。
勿論、そんな経済格差を気にするハズのない、しかも我が家の経済状態にも何の理解もないまんぼうは
「そんなものなんですか〜。」
と、もうウルウルしている。

 優しい奥様は設置当初の見積書まで出して来る。
正直言って私自身もそれを見て気持ちはかなり揺らいだ。
(・・・本体は思っていたよりそれ程高い物ではないのだなー)

 はっ!イカン、イカン!我が家はいつもこのパターンで深く考えずに高額な買い物をしてしまうのだ。
今度ばかりはそうはいかない。

 なんと言ってもここのお宅の場合は建築時に設置した物で
一方、すでに築十数年、瓦屋根の純和風の我が家に付けるのとではわけが違う。
 とにかく、ここでは話題を他にそらすことに専念した。 
 back     next