まんぼう 翻車魚倶楽部
航海日誌since July 2000

★2000年7月★
 棚田の土手のあたりに、ぽつりぽつりとクヌギとか、柿の木が立っている。これはむかし刈り取った稲を、干すためにあった『稲木』の名残である。自然乾燥していた頃は、この木に竹を渡して稲を天日干ししていた。しかし、今ではコンバインが脱穀までしてくれる事や、機械乾燥の時代でこれら木も必要がなくなり、日当たりが悪くなる、ただの”じゃまな木”になってしまった。これも時代の流れなのか?これらの木は周辺の生きものにとっては貴重な休憩場所だったり、頭でっかちなクヌギは樹液をたくさん出す昆虫たちの食堂でもあった。
今の棚田の風景も5年ほど前とはかなり違っているらしい、あと5年ほど経ったらまた違う風景になっているだろうと、地元の農家の方が言っていた。この棚田をこのまま維持管理していくのは平坦な田んぼと比べて約5倍の労力がいるらしい。農業は重労働で、高齢化が進む現在どこでも後継者不足なのだ。
などなど、いろいろな話を聞きながら棚田のすこし小高いところにテントが設置され、ここが現場の中心基地となった。そして12時をすこし過ぎた時間となり昼食となった。


 昼食は、今回お世話になる農家の奥さん方が作ってくれた。竹の皮で包んだおにぎり、お味噌汁、土筆のおしたし、それに数種類のお漬け物。漬け物好きの私には最高!!とっても美味しく頂いた。どれも何となく昔懐かしいような感じがした。大げさに言うと昔の日本がまだ、ここにはあるようだった。翻車魚一家もやっぱり田舎暮らしをせねば。と、ひとり心に決めるまんぼうでした。
 

 休憩場所のすぐ下にある棚田。すこしわかり辛いが形はきれいな『馬蹄形』をしている。真ん中の色がすこし緑が濃い田んぼは、去年まで減反で休んでいた田んぼ。地力が回復して稲の色が濃い緑になる。肥料をたくさん撒いたところは濃い緑の稲になるそうだ。
★『畦の草刈り体験』
草刈り

 午後からは、いよいよ今回のメインイベント畦の草刈り。わざわざ草刈りをせず、草を残してくれてある田んぼの畦に移動して、まず草刈りの講習を受ける。最近では少なくなった専業農家のN氏の簡単な説明と注意。時々だが蝮がいるそうで、最初、鎌ですこし探りを入れてから、手で草をつかんでから鎌を入れる。参加者の中には、はじめて鎌を持つ人もいて、危なっかしい手つきで草刈りをする人や、鎌を持参して、手慣れた人などもいて、つらい草刈りも大人数でやればとても楽しく出来た。
 そして三時の休憩は、これまた素晴らしいものでした。左の写真上は、柿の葉で包んだあんこもち。下はバランの葉で包んだグリンピースもち。そして飲み物は、しそのジュース。もちろんすべて農家の奥さん方の手作り。包んだ葉っぱも家の庭先にあった物。市販のジュースやお菓子では味わえない素朴な味わいは、とても人間的な味がした。労働のあとのこのおやつには感激した。このあとは自由時間となり、みんな思い思いに、子供に戻ったように網を片手に虫取りをする人、カメラを持っていろいろと写真を撮る人。静かにこの風景にとけこんでいるかのような人。やっぱり自然は素晴らしい。
たがめ
さくらの大木

    

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